ここがポイント! アルコール健康障害
アルコール依存症その他の多量飲酒、未成年の飲酒、妊婦の飲酒等の不適切な飲酒の影響による心身の健康障害のことを言います。
不適切な飲酒は、肝障害や食道がん、自殺等のリスクを高めるだけでなく、暴言・暴力、虐待、DV 等周囲の人を巻き込みます。飲酒運転による幼い子どもたちの死亡事故、大学のサークル合宿でのイッキ飲みによる死亡事故等、同様の事故があとを絶ちません。
これらの不適切な飲酒によって引き起こされる問題に対し総合的に取り組むために、平成26年6月に「アルコール健康障害対策基本法」が施行され、愛知県では平成29年3月に「愛知県アルコール健康障害対策推進計画」が策定され対策が実施されています。
1. アルコール依存症は珍しくはありません
あの人の飲み方おかしいなと感じることはありませんか?
アルコール依存症患者の推計は109万人。アルコールは依存性薬物のひとつで脳の機能を破壊します。
お酒の量や飲み方がおかしくなるのは、意志や性格の問題ではなく、病気の症状です。
2. 治療のためにはまわりの力が必要です
お酒の影響を受けている人は、自分の飲み方の異常さを感じる能力が低下します。はじめに気づくのは家族や仕事仲間などのまわりの人です。気づいた人が相談機関に相談することが大切です。
3. アルコールの専門治療を勧めましょう
お酒の問題を解決するために、本人自身が問題に向き合う環境を整えましょう。そして、冷静かつ率直に「私はあなたのお酒の飲み方が心配だ、治療をしてほしい」と本人に働きかけてください。一度ではなく、家族や支援者など関わりのある人から繰り返しお願いします。
4. 自助グループへの参加が有効です
治療が始まっても、アルコール依存症は完治はしませんが、回復することの出来る病気です。そのためには断酒が不可欠とされていますが、一人で断酒を続けるのは本当に大変です。自助グループへの参加を応援しましょう。(完治と回復については「アルコールと依存」をご参照ください)
年齢・性別などでリスクが変わる
- 飲酒する場合は、1日アルコール20g(日本酒1合)程度までにしましょう。飲酒すると顔が赤くなる人、女性や65歳以上の高齢者は、より少ない量にしましょう。
- 休肝日を作りましょう。
- 男性でアルコール40g以上、女性で20g以上の飲酒は生活習慣病のリスクを高めます。
- アルコール60g以上の多量飲酒は身体的な問題以外にも事故やけが、職場や家庭での問題が増え、依存症になるリスクが高くなります。
未成年、妊婦、授乳中の女性、服薬中の人は飲酒しないようにしましょう。
エチルアルコールは小さな分子で水にもアブラにも溶けます。ですから飲めば身体の隅々まで行き渡り、脳を守る血液脳関門や赤ちゃんを守る胎盤も通過してしまいます。
妊娠中の飲酒は胎児の脳や身体の発育に影響をおよぼし、胎児性アルコールスペクトラム障害を引き起こします。妊娠初期でも影響があるため、妊娠の可能性がある女性では飲酒に気をつける必要があります。
また、若い脳ほどアルコールの影響を受けやすく、未成年の飲酒は身体発育や社会性の獲得を阻害して依存症発症のリスクを高めます。
女性は男性に比べて身体が小さく脂肪が多いためアルコール血中濃度が上がりやすく、アルコールを解毒する肝臓も小さいため身体的なダメージを受けやすいといえます。そして、男性よりも少ない量・短期間で依存症になる傾向があります。
高齢者もアルコールの代謝能力が落ち、少量で酔いやすくなります。身体疾患を持つことが多く、薬と併用しているとアルコールの害や薬の副作用のリスクが上がります。
翌朝の運転に注意!
アルコール20g(日本酒1合に相当)を分解するのに、個人差はありますが男性で4時間、女性で5時間かかります。たとえば日本酒を3合飲んだとすると、男性でも12時間かかることになります。さらに睡眠中は分解速度が遅くなります。
もしその量を仕事が終わって宴会などで飲酒した場合、翌朝まだアルコールが身体に残っている可能性が高いのです。
2合以上飲んだときには翌朝運転しないようにしましょう。
寝酒はやめよう
お酒で寝付きはよくなるかもしれませんが、眠りが浅く早く目が覚めるようになり睡眠の質が落ちます。
寝酒を続けると飲酒しないと眠れなくなり、お酒がやめられなくなります。
寝酒は依存症への超特急。とくにシフト勤務者は要注意です。
アルコールは最悪の睡眠剤ともいわれます。睡眠がうまくいかないときには、生活習慣を整えたり睡眠障害を扱っている医療機関に相談しましょう。